honwakaalsoikiyoyoの日記

はじめまして。ここではチャットGPTによる三題噺を主に載せています。よろしければご覧ください。

日常におけるたわいもないことを創作のたしに。そんな感じでゆるくやってます。

「“うるさい”ください」

♯画像生成AI ♯自作 ♯創作

 

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「もう、うんざりだ。静かにしてくれ!」

そう叫んだのは都内に建てられた一軒のマンションに住むサトウだ。

車のエンジン音、ビルの建設現場、終電間際の酔っぱらい達による合唱…。朝から晩まで途絶えることのないバラエティに富んだ騒音がここには溢れかえっていた。

職場に向かうのに最適と、駅近くのマンションを選んだ結果がご覧の有り様である。

休日となると喧しさは平日の比ではなく、サトウの住むA区は隣のB区にあるテーマパークの経由先として地方からやってくる客で朝から大賑わいとなる。今日はそのテーマパークが開園から50年の節目という事もあり前日からホテルを予約する客が集まりこの日だけでA区に住む人口を軽く超えていた。あまりの多さに通りでは警察が出動する事態になるほどの大渋滞を起こしていた。

「多少は覚悟していたがここまでうるさいとは…。おや、誰か来たみたいだな」

サトウが愚痴をこぼしたと同時に玄関のインターホンが鳴った。

「どちら様です?」

「お時間よろしいでしょうか」

玄関のドアを開けるとセールスマンの男が立っていた。

「はじめまして。私、防音をサービスとしているシーン社の菜蓮人と申します」

「防音材の類でも取り扱ってるのか」

「いえ、弊社ではそういったものは取り扱ってはおりません」

「ならどんなものを売ってるんだ」

騒音に悩まされているサトウは菜蓮人と名乗る男の淡々とした対応に苛立ちを覚えた。

「お客さまの健康を防音から守るという観点から弊社ではこちらを取り扱っております」

そう言って男はカバンから取り出した装置をサトウに見せた。

「なんだこれは」

男の手にはネズミのような見た目のメカが乗っていた。首周りには引き盃の様な襟巻きが付いており、頭とされる部位にはロッドアンテナが展開していた。

「これは騒音収集器というもので対象物が発する音を使用者に聞こえない様にするものです」

「なんだって、それは本当か!」

渡りに船とはこの事か。男のセールストークにサトウは思わず感嘆の声を上げ、話の続きを応接室で聞く事にした。

「お客様の様に都内にお住まいの方の共通の悩みとして騒音問題があります。この問題を解決するという目的のもとにこの装置は開発されました。まずはこの装置の性能を知っていただく為、あちらのテレビを使いたいのですがよろしいでしょうか」

「うん」

サトウが許可すると男はテレビのスイッチを押す。怪獣映画が放送していた。

「音量を上げますので耳栓をどうぞ」

サトウが耳栓をしたのを確認すると男はテレビの音量を上げた。画面には街中で怪獣が熱戦を口から吐いて大暴れしていた。耳栓をしていてもわずかに聞こえて来る逃げ惑う人々の叫び声と爆発音。男は間髪入れず装置のボタンを押した。

『“うるさい”を検知しました』

装置が音声を発すると同時にテレビは途端に静かになった。

「…?」

「外されても大丈夫ですよ」

外界からの音を遮断されたサトウに男はジェスチャーで教えた。

「こ、これは!」

画面では終盤あたりなのだろうか。

怪獣が火山の火口へと落下して噴火しているシーンだった。相当なうるささであろうと伺えるが

全くの無音だった。

「如何だったでしょうか。この装置は所有者である私の“うるさい”と感じた対象を騒音と認識して瞬時に音をそのものを消してしまうのです」

「確かにこれは防音材などでは出来ないな」

「弊社はお客様の“うるさい”をいただく事をモットーにしております」

「いやはや恐れ入ったよ。目の前で見せられては信じざるを得ない」

「ありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいです。ところで今日はかなりの人通りですね」

「今日はB区でテーマパークの開園50周年の節目を迎えた事を祝って通りでパレードをやっているんだよ。ははは、ちょうどいい機会だ。テレビの音だけでないという事を見せてもらおうじゃないか」

「かしこまりました」

サトウは男と共に外出し大通りへと出た。

「こ、これは…」

まるでグンタイアリの引越しかと見紛うほどの大勢の人混みにサトウは気圧された。

「ではこちらの装置をどうぞ」

「あ、あぁ」

サトウは男に促され、手渡された装置を群衆に向け、スイッチを押した。

『“うるさい”を検知しました』

シーン…。サトウは驚愕した。目の前いる人々は身振り手振りから話している事は明らかにわかるのだが、声だけが全く聞こえないのだ。

「弊社の厳格なテストをクリアした装置です。

ジェット機のエンジン音から蚊の羽音までお客様の任意で消去できる音は自由自在です」

「買った!これは世紀の発明だよ!素晴らしいー!!」

サトウは通りに向かって走った。群衆という騒音と切っても切れない存在が物音ひとつ立てないのだ。このあまりにもミスマッチな光景がサトウの心を魅了してやまなかった。

「はっはっはっはっー!」

サトウは声を上げて笑った。その声に皆が振り返り、サトウを見た。人々はサトウを見て何かを叫んでいた。

「みんなー!今まで悪かった!みんなが楽しんでいる気持ちがようやく理解できたよー!」

人々がサトウの存在に気がつくと皆、一様にして不安の混じった表情で彼に何かを訴えかけている。

「ありがとう!みんなも今日を楽しんでくれよー!」

何を話しかけているのかサトウには分からなかったが自分を呼びとめてくれているのは分かった。

体が軽い。ふわふわと宙を待っている気分だ。

音がしないというのはこんなにも素晴らしいものなのか。サトウはそんな錯覚に陥った。しかし、それもすぐに終わった。

「?なんだか痛みがするな…」

半身に何かじんわりとしたものを感じた。続いて痛みが起こった。

「な、なんだ!?まさか装置の副作用か…?」

やがて遠くなっていく意識を呼び起こそうと体を動かそうとしたが痛みのせいで確かめる事は出来なかった。後にこの現象は大衆の静止を振り切って大通りに出た彼を轢いてしまった車が原因だと知ったのは病院ベッドの上であった。

 

 

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