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「ものぐさ選手権」
ワード「めんどくさがり」「出場資格」「タイプ」
ある街で1番めんどくさがりな人を決める大会「ものぐさ選手権」が開催されました。4年に1度行われるこの大会は、応募した者の中から審査員達の厳重な審査によって選ばれ、出場資格を持っている人達だけで行われます。
会場には大勢の参加者が集まりました。一言にめんどくさがりと言ってもその種類は様々で、ぐうたらな人、やる気のない人、いつも寝ている人など、さまざまなタイプのめんどくさがりがいました。大会の説明をきいている最中に寝落ちする人までいました。
優勝者は大会で行われる様々な競技で最も良い成績を残した者としました。
運営代表の簡単な挨拶が終わり、いよいよ最初の競技が始まります。大会を見に来た選手の家族・関係者達はみんな固唾を飲んで見守っていました。
最初の競技は「おいねを返さなさい」。参加者の多くは与えられたおいね（頼みごと）をできるだけ無視しようとするのですが、その内容がどれも絶妙に“多少こちら側の融通の効くお願い”が多く無意識に人の良さを発揮してしまった選手はたちまち失格となりました。そんな中、ナガノさんがこの競技では有利となりました。彼は常に他の人の頼みごとを無視していて、返事も適当なため、とてもめんどくさい存在なのです。彼の生来の忘れっぽさが猛威をふるいました。
次の競技は「予定をキャンセルしなさい」。参加者たちはあれこれ理由をつけて自分達に課せられた予定をキャンセルすることを回避しようとしました。しかし、ここでもまた大会の運営側による篩い分けが起こります。
大会に出場した選手たちの身内10人に来てもらい全てのスケジュールを断り実際に大会後は不参加を徹底するという内容です。
明後日のデート、来週のテーマパーク、さらには1ヶ月後の結婚式。
顔が広く仲間思いの選手はことごとくこの競技で失格となりました。
この競技で好成績を残したのはいつも自分の予定ばかり優先するエバナさんでした。彼女はいつも「あいにくその日は都合が悪いです」と言って、何か予定が入っているように偽ります。彼女の行動は周囲に迷惑をかけることも多いため社交性を持ち合わせているものの、かなりめんどくさい存在なのです。しかしこの大会では、人に嫌われたくないという世間体を気にする心持ちが敗因となり
エバナさんの様な我の強さは絶対的な勝因となるのです。それはこの競技で生き残った選手達にも言える事でした。
最後の競技は「評価:怠け者」。残った参加者たちはできるだけ何もしないか、最低限の労力で済ませるか、の２通りの方法にハッキリと別れました。この大会で注目を浴びたのは先程の競技で好成績を残したナガノさんとエバナさんでした。
彼は「何もしない」を、彼女は「最低限の労力」を選びました。
結果的に、もちろん最もめんどくさそうに見えるエバナさんが勝利しました。勝因は、「周囲からの評価」という点の重視でした。
彼女はいつも体を動かすのが億劫で、仕事や学校でも最小限の努力しかしないため、周囲からは「絶対に手間をかけさせないほど面倒くさい人」と評されるほどです。「周囲からの評価」をもらう前提として人目につく環境にいる事が大前提となります。ナガノさんの「何もしない」というのは人目につかない空間においては、彼を怠け者たらしめるのに無類の強さを発揮しますが今回の競技における「周囲の存在」を無視してしまうという点が裏目に出てしまいました。
残る選手達は、2人の方法を模倣していた事が発覚しあえなく失格となりました。
このようにして、「ものぐさ選手権」の優勝者は選ばれました。この大会では彼女の癖の強さを遺憾なく発揮したかもしれませんが、一方で何かを頼まれたり予定をキャンセルしなければならない場面では当事者でない限りは、エバナさんが周囲を助けてくれることもあると普段の彼女を知る関係者は語りました。
優勝者は、最もめんどくさそうに見える人かもしれませんが、いざという時には頼りがいのあるまさに表裏一体な存在なのです。
審査員が表彰台に立ったエバナさんに優勝メダルをかけようとしたその時運営スタッフから連絡が届きしばらくの間、審議が行われました。
その結果、エバナさんは準優勝という形となりました。抗議する彼女に審査員達はこう言いました。
「優勝者は大会への出場資格があるにもかかわらず寝坊したエリカさんです」
引用元
https://chat-gp-talk.onelink.me/aPTt/UserInvite
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