♯画像生成AI ♯チャットGPT ♯創作 ♯AI三題噺 ♯創作
先 割り算 下校
風の通り道
昼の教室に、くるぶしまでのスカートの裾を揺らす風が入り込んできた。黒板の横に貼られた時計が、12時を告げると同時に、少しだけ鈍い音を立てて針を進める。今日は特別な日だった。私は、算数の授業のあとで友達と一緒に下校する約束をしている。だが、先輩のミッションのような課題が、私たちの計算を乱していた。
「先に割り算を解くと決めてから、下校の時間を決めよう」と、A君が提案した。私たちは教室の窓際の席に並び、机の上にはノートと鉛筆、そして少しだけ重い教科書が散らばっている。割り算の問題は、ただの数字合わせではなかった。友だち同士の小さな会話、昼休みの匂い、そして午後の風の音――すべてが、この算数の解を探す旅路の一部だった。
問題はこうだ。クラスみんなでお菓子を分けるとき、3人で等分に分けるとき、残りはいくつになるのか。私はノートに式を書きながら、頭の中で「割る」「余り」「等分」という三つの言葉を繋げていく。数字が並ぶたび、友達の声が遠くなるような感覚にとらわれた。私の手元には、鉛筆が緊張して走る音だけが響く。
「割り算は、答えよりも過程だと思うんだ」と隣の席のNちゃんがつぶやく。私たちは小さな協力の拍子を刻み、互いの手元を見合わせた。式を分解していくと、見えてくるのは心の整理だった。割り算のひとつひとつの操作は、今日の行動の予行演習のようでもあった。先に問題を片付ければ、その余裕で下校の時間も穏やかに迎えられる。
やがて黒板の端に黒いチョークの軌跡が残る。先生は「分かるまで解き続けよ」と声をかけ、私たちは黙々と答えを探した。答えの数字が見え始めると、教室の光が少しだけ柔らかくなった気がした。私の心は、下校の道のりを具体的に描き始める。友だちの肩越しに見える外の景色――校庭の木々が風に揺れ、子どもたちの笑い声が遠くから近づいてくる。
計算が終わると、時計の針は「いってらっしゃい」とでも言うように軽やかな音を立てて動いた。私たちは席を立ち、鞄を肩にかけ、ノートを閉じた。「先に割り算を解くことができたから、下校もスムーズに行けるね」と、Nちゃんが微笑む。私もはっきりと返事をして、廊下へと出て行った。
外は昼の光と新鮮な風で満ちていた。制服の袖口を押さえ、教室を後にする私たちは、数学の答えよりも、友だちと分かち合った過程の方が大切だったことを知る。下校の道は、私たちの小さな冒険だった。足音を合わせて歩くその距離は、割り算の余りのように、すべてを均等には分けられないけれど、分裂することなく、新しい一歩を私たちへと誘ってくれる。